活動報告


『訪問看護センター阿部』にて研修会を2回(2024.10.30、2025.2.26)させてもらいました。

『訪問看護センター阿部』は、弊社設立当初(2019年)から大変お世話になっている訪問看護ステーションです。
弊社は『訪問看護センター阿部』事務所の2階から福岡市早良区に本社移転(2024年3月)をしたため、これまでの密接なつながりが持てなくなりました。
しかし、管理者の阿部久美子氏より研修会の依頼をいただき、以下のとおり、私の研究テーマに基づく研修会をさせてもらいました。


1回目 2024年10月30日(水)
17:00~18:30
テーマ:訪問看護導入期の臨床判断について
2回目 2025年2月26日(水)
17:00~18:30
テーマ:訪問看護におけるグリーフケア

2回とも参加者間の討議の時間を取りましたが、活発な意見交換ができました。


具体的には以下のとおり実施しました。


1回目
2024年10月30日(水)
17:00~18:30
テーマ:訪問看護導入期の臨床判断について
  • 訪問看護を取り巻く動向(導入)
  • 臨床判断とは
    ・タナーの臨床判断モデル(復習)
    ・訪問看護における定義
  • 訪問看護導入期の管理者の臨床判断
  • 導入期の臨床判断に関する討議
    臨床判断(例)を6つ紹介し、実際の事例を想起できるか?看護実践に適用可能か?という視点で事例などについて自由に語ってもらった。
  • 導入期の管理者の臨床判断(全国調査結果より)
2回目
2025年2月26日(水)
17:00~18:30
テーマ:訪問看護におけるグリーフケア
  • グリーフケアとは何か(基礎知識)
  • 予期悲嘆とその課題(過去の研究より)
  • 看取り支援に内包されるグリーフケア(研究成果より)
  • 訪問看護師のグリーフケアに関する討議
    分析結果をもとにしたグリーフケアの具体例を8つ紹介し、実践の場における類似の経験などについて事例やその時の様子、自身の思いなどを自由に語ってもらった。

参加者から以下の感想をいただきました


2024年10月
「訪問看護導入期の臨床判断について」
  • 大変勉強になりました。阿部さんをはじめ、スペシャルなスタッフのみなさんの臨床判断を学びたいし、学んで少しでも、活かして行きたいと思いました。
  • 自分たちの日々の看護を臨床判断モデルに照らしてもらえたことで、とても面白く学べました。やはり、実践が言語化されると嬉しく感じます。
  • 看護師にとって日々の看護の実践を振り返る為には、臨床判断はとても重要だと再認識しました。また、導入期の臨床判断をとても興味深く学ばせていただきました。
  • 訪問看護における「臨床判断」の定義はまさにこの事業所でしている支援に当たると思いました。以前の研修にて、タナーの臨床判断モデルで事例をまとめてから月日が経ち、再度、用紙を見てみました。この事例のまとめにより、失敗ばかりで自信がなかった私が、自分なりに考えながら支援できたと手応えを感じるきっかけになりました。「また臨床判断モデルで事例をまとめてみようかな」という思いにもなりました。 訪問看護に導入期の瞬時の判断能力のスキルを阿部さんのもとでさらに学んでいきたいと強く思いました。

2025年2月
「訪問看護におけるグリーフケア」
  • 臨床から離れていた期間が長かったのですが、20年くらい前、家族看護やグリーフケアについて関心があり勉強していたことを思い出しました。訪問看護において、グリーフケアは重要な役割のひとつと思いました。研修のなかで、スタッフのみなさんの実践を聞くことができ貴重でした。そして、みなさんが当たり前に実践されていることを先生の研究に基づき言語化し分類されることで、私のように実践や経験が乏しいものには、どのように考え、実践していくのかという指標になり大変勉強になりました。
  • 総合分析の結果が本当に的確にグリーフケアを行う看護師の経験を表していると思いました。今まで訪問看護を長くしてきて、 8項目にまとめられたケアの例は、大変勉強になりました。これは、今後グリーフケアを行う上での指針と看護の振り返りに活用できると思いました。
  • グリーフケアは訪問看護師が個人で行ってる実践なので、人には見えにくいため、今回のようにディスカッションすることで、どのように関わっているかを知る機会となり、個々の看護観等も分かり、とても楽しいです。先生が一人一人のお話を一生懸命聴いてくださるのも嬉しく沢山話したくなります。みんな語り始めたら止まらないだろうなっていう研修でした。
  • 訪問看護では患者さんと家族を丸ごと看る…ということを再認識しています。訪問看護に入ってまだ日が浅いですがこれから学んでいこうと思います。
  • グリーフケアについて分析されていて勉強になりました。訪問看護導入した時からグリーフケアを意識して介入できていければ良いなと思いました。今回の研修で自分たちが行なっている家族看護について振り返ることができて良かったです。
  • 紹介された研究結果の内容から、実践の中でも知らず知らずのうちにグリーフケアができていることもあるのかなと思いました。今後、訪問看護に関わる中で意識的に関わっていきたいなと思いました。本人らしさや家族の介護力を引き出すには、日々のケアを丁寧に積み重ねていき信頼関係を築くことが大切だと実感しました。
  • 常日頃、系統立て考えてグリーフケアをしてはいませんでしたが、分析や具体的なグリーフケアを言葉にしてみると、自然と実施していることが大半でした。また同僚達も自分と同じ感覚や気持ちを持っているということを知ることができ、自身を肯定することができました。言葉や文章でみると、今行っている看護介入がどの部分に当てはまるのかが明確になり、頭の中も気持ちも整理でき、より良いグリーフケアにつながっていくと感じました。ターミナルに関わると、亡くなった時に自身の心が燃え尽きるような感覚に陥ったり、どこかに持って行かれたような気持ちになったり心身ともにくたびれ果てることがあります。このような研修やグリーフケアの振り返りをすることで自分自身のグリーフケアになっていると感じました。
  • ご家族は本当にいろんな方がいて、いろんなカタチがあり、その時間その方たちのためにケアしたいと尽力してきました。当然、様々な反応があります。良かれと思ってもそうはならなかったり、案外ってこともあります。なるべく家族側のケアに努めてきましたが、正直、なんとも後味の悪い時もありますし、悲しいながらもおだやかな空気に包まれていることもありました。訪問している中で、実際のケア、心のケアを積み重ねていき、きれい事では済まないことにもあたりつつ、頼りにしてもらえたり、支えたりできて心の準備をしてもらえるのではと思います。一喜一憂し過ぎず、振り返りをしながら、スタッフとケアにあたることが大切だと感じます。

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