活動報告

「院内看護研究への年間サポート ~研究発表会での講評~」
研修日:2020年2月13日(木)17時30分~19時30分

年間を通じて院内看護研究をサポートしてきた宗像医師会病院の看護研究発表会にお招きいただき、研究発表を拝聴した後、講評をさせてもらいました。


今回の看護研究発表会では、4題ずつ座長を立て、二部構成の計8題の演題が学会形式で発表されました。演題の内容は、患者さんの心理状態を浮き彫りにしたもの、認知症ケア・緩和ケアに焦点をあてて看護実践を抽出したもの、さらには、入退院支援や感染予防対策に関するもの等がありました。日頃の臨床看護実践の中からリサーチクエスチョンに繋げてもらうことを大事にして進めてきたこともあり、身近でありながら今後の実践に役立つテーマが取り上げられました。


研究デザインは、質的記述的研究、事例研究、量的記述研究などでしたが、今回は文献研究に取り組んだ演題もありました。質的記述的研究や事例研究を奨励していることもあって、その演題が多くありました。このタイプの研究デザインの場合、対象者の方にインタビューしたり、結果を分析したりするプロセスが難しくもあり時間もかかります。しかし、このプロセスの中で、患者の心情に深く触れたり、または看護師のケアの意味を考えたりすることになり得るため、たとえ研究成果にうまく表現できない部分があったとしても、自らの看護について立ち止まる機会になると考えています。質的記述的研究や事例研究は、『看護ケアを言葉にする訓練である』とも思っています。


宗像医師会病院では、看護部の教育の一環として看護研究が位置付けられており、私は、外部者として看護部と協力しながら支援してきました。文献研究について看護師長さん方も臨時の勉強会をするなど、各部署の管理者の方もスタッフをサポートしている様子が伺えました。発表会の最後に看護部長さんから、研究成果に対する称賛と1年間の努力に対するねぎらいの言葉とともに、看護学会等外部への発表の奨励についてのお話がありました。昨年度は、4つの演題が外部で公表されたというご報告もなされました。私も、院内看護研究の中から外部への公表に繋がることを希望する次第です。どの演題もリサーチクエスチョンを立て、研究計画書作成、倫理審査委員会の承認、データ収集と結果・考察のまとめという一連のプロセスをきちんと踏んでいるため、看護学会等の演題登録に挑戦可能だと思っています。


今回、年間を通した看護研究のサポートをさせてもらい、看護実践者による研究の利点をあらためて実感する機会となりました。日常的に患者と密接に接しているからこそ持つリサーチクエスチョンは豊富にありますが、実践者らしい視点を活かして研究としてまとめることは難しくもあります。しかし、看護実践者による研究により患者側の立場を尊重した看護に繋がることにもなるため、その支援ができるよう私も研鑽していきたいと思います。



このページのトップへ