福岡市南区にある、訪問看護ステーション『楽らくサポートセンター レスピケアナース』では、管理者の山田真理子氏の方針もあって、事業所内で定期的に『事例検討会』を実施しています。すでに定着した活動ですが、その現状把握と課題抽出、改善策の方向付けに対する支援という依頼を受けました。
レスピケアナースの事例検討会の概要は以下のとおりです。
月2回、スタッフ全員が参加し、その目的は、「『暗黙知』を『形式知』にすること」で、『ICF(国際生活機能分類)の生活機能モデル』を基盤にした情報整理用紙を用いて、発表者からの説明後、検討の時間や全員発言することなどのルールを決めて、実施しています。まず、事例検討会 (2019.9.25) に参加させてもらい、その後、スタッフの方々に、この事例検討会に対する、考え・意見などをラベルに書いてもらいました。1つのラベルに一つの事柄とし、ひとり2,3枚のラベルを無記名で、よいことも悪いことも率直に書いてもらうことをお願いしました。ラベルはその場で回収して、私が『質的統合法(KJ法) 』という手法を用いて分析しました。質的統合法(KJ法)は、少数の意見も尊重されて全体像を示すことができるため、スタッフの意見を反映した現状が浮き彫りになると考えました。この日(9.25)事例検討会に参加した14名のスタッフの方(管理職を除く看護師、理学療法士、作業療法士)から全部で40枚のラベルを提出してもらいました。
10月23日には、まず、『現状把握と課題抽出として分析し図解した結果』を私から説明させてもらい、現状と課題を事業所全体で共有する時間を設けました。
次に、この分析結果を踏まえた上で、今後にむけての意見をラベル(付箋)に1,2枚書いてもらい、私がファシリテーターをしながら、全員で改善策を作り上げるといったプロセスを実施しました。この中で、全員の合意をとりながら、継続する点、方法を変更する点、管理側が配慮する点などの具体策が出されました。
訪問看護事業所の質向上は、管理者のリーダーシップが重要ですが、事業所全体で取り組んでいけると無理なく持続可能になります。『楽らくサポートセンター レスピケアナース』では、現在の『ICFに基づく事例検討会』が、スタッフにとって負担を最小限にしながらもケアの向上につながる具体策が提案され、私自身がとても勉強させてもらいました。今後もこのような『訪問看護事業所の質向上にむけた取組み』に参加させていただければと存じます。